初心者でも育てやすい観葉植物として人気のパキラですが、長く育てていると枝が伸びすぎてしまったり、形が崩れてしまったりすることがあります。「幹を途中で切ると枯れてしまうのではないか」「切り戻しの正しい方法がわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
実は、パキラは生命力が非常に強く、適切な時期と手順で行えば、剪定で切った枝を挿し木にして増やすことも可能です。しかし、ひょろひょろになった株を元に戻そうとして切る場所を間違えると、新芽が出ずに失敗してしまうリスクもあります。
この記事では、徒長してしまったパキラを美しく再生させるために、あえて剪定しないで様子を見るべきタイミングや、編み込みパキラ特有の注意点なども交えて解説します。
- パキラをバッサリ剪定しても問題ない最適な時期と理由
- 成長点を意識した失敗しない切る場所の見極め方
- 枯れた編み込みパキラの処理や徒長した株の再生方法
- 剪定した枝を有効活用して挿し木で増やす手順
パキラの剪定はバッサリ行っても大丈夫?

パキラは非常に強い生命力を持つ植物であり、適切な条件下であれば太い幹を大きく切り落とすような強剪定を行っても、再次元気に芽吹く力を持っています。しかし、植物にとって枝葉を失うことは大きなストレスとなるため、回復が見込める健康状態や環境が整っていることが前提条件となります。
ここでは、剪定を行うべき理由や、ひょろひょろに育ってしまった株をリセットする際の考え方、そして失敗のリスクを最小限に抑えるための最適な時期について詳しく解説します。
- パキラを剪定しないとどうなる?
- 徒長した枝は早めにリセットする
- ひょろひょろの株を再生させる
- 剪定の失敗を防ぐ最適な時期
パキラを剪定しないとどうなる?
パキラを剪定せずに放置していると、見た目の美しさが損なわれるだけでなく、株の健康状態にも悪影響を及ぼす可能性があります。枝葉が密集しすぎると、内側の葉に日光が当たらなくなり、光合成の効率が低下して株全体が弱ってしまうことが考えられます。また、風通しが悪くなることで湿気がこもりやすくなり、カイガラムシやハダニなどの害虫が発生したり、カビ系の病気にかかったりするリスクも高まるでしょう。
さらに、上へ上へと伸びる性質があるため、天井に届くほど大きくなりすぎて室内の管理が難しくなるケースも少なくありません。重心が高くなりすぎると、地震や接触などで転倒しやすくなる危険性もあります。したがって、定期的な剪定はパキラを健康でコンパクトに保つために欠かせない作業だと言えます。
徒長した枝は早めにリセットする
室内でパキラを育てていると、茎が細長く間延びしてしまう「徒長(とちょう)」という現象が起こることがあります。これは主に日照不足が原因で、植物が光を求めて無理に茎を伸ばそうとするために起こるとされています。徒長した枝は組織が軟弱で折れやすく、葉の色も薄くなる傾向があるため、そのままにしておくと株全体の樹形が崩れてしまいます。
一度徒長してしまった部分は、その後日当たりを良くしても元の太くがっしりした状態には戻りません。そのため、**徒長が見られた段階で早めに切り戻しを行い、リセットすることが推奨されます。**不要な枝を取り除くことで、株の栄養が無駄に使われるのを防ぎ、新しく出てくる芽にエネルギーを集中させることができるでしょう。
ひょろひょろの株を再生させる
長期間日陰に置いていたり、水やりが不適切だったりすると、パキラ全体がひょろひょろとした頼りない姿になってしまうことがあります。このような状態の株は根の張りも弱くなっていることが多いですが、幹自体がまだ硬く生きているようであれば、思い切った剪定によって再生させることが可能です。これを「切り戻し」や「丸坊主剪定」と呼び、地上部の枝葉をほとんど落として株を休ませ、新しい環境に適応した強い芽を出させる荒療治とも言えます。
再生を目指す際は、剪定と同時に生育環境の見直しも行うことが大切です。レースのカーテン越し程度の柔らかい日光が当たる場所に移動させ、適切な水やり管理を行うことで、切り口の近くにある「成長点」から力強い新芽が顔を出すことが期待できます。ただし、株が極端に弱っている場合は、剪定のショックでそのまま枯れてしまうこともあるため、事前に活力剤を与えるなどして体力をつけさせておくのも一つの方法です。
剪定の失敗を防ぐ最適な時期
パキラの剪定で失敗しないためには、作業を行う時期が最も重要な鍵を握っています。一般的に、パキラの生育が旺盛になる「成長期」に合わせて剪定を行うのがベストとされています。具体的な時期としては、**気温が十分に上がり安定してくる5月から7月頃が推奨されます。**この期間であれば、剪定によるダメージからの回復が早く、切った直後から勢いよく新芽が吹いてくることが多いためです。9月頃までは剪定可能という情報もありますが、秋以降は気温の低下とともに成長が緩やかになるため、回復が遅れるリスクを考慮すると早めに済ませるのが無難です。
一方で、10月以降の秋から冬にかけての剪定は避けるべきだと言われています。休眠期に入る冬場にバッサリと枝を切ってしまうと、新芽が出ないまま切り口から枯れ込んでしまい、最悪の場合は株全体が枯死してしまう恐れがあるからです。もし冬場に枝が邪魔になったとしても、本格的な剪定は春になるまで待ち、枯れた葉を取り除く程度に留めておくのが賢明でしょう。
| 時期 | 適性 | 理由・注意点 |
| 5月~7月 | ◎ 最適 | 成長のピーク。回復が早く失敗しにくい。 |
|---|---|---|
| 8月~9月 | ◯ 可能 | まだ暖かいが、寒くなる前に回復させる必要がある。 |
| 10月~4月 | × 不適 | 休眠期。回復力が弱く、枯れ込むリスクが高い。 |
パキラの剪定でバッサリ切る方法と手順

パキラを剪定する際は、ただ闇雲に切るのではなく、植物の性質を理解した上でハサミを入れる位置を決めることが成功への近道です。また、編み込み仕立てのパキラ特有のトラブル対処法や、切った枝の活用方法を知っておくことで、園芸の楽しみがさらに広がります。
ここでは、具体的な切る場所の見極め方から、丸坊主にする際の手順、剪定後の楽しみ方までを詳しく解説していきます。
- 成長点を残す切る場所の見極め方
- 丸坊主にするなら幹を途中で切る
- 全体のバランスを整える切り戻し
- 編み込みパキラの枯れた幹の処理
- 切った枝は挿し木にして増やす
- パキラの剪定でバッサリ切って楽しむ
成長点を残す切る場所の見極め方
剪定を行う際に最も意識すべきなのは「成長点」の位置です。パキラの幹や枝をよく観察すると、所々に節のような膨らみや、かつて葉が落ちた跡のような横線が見つかるはずです。これが成長点であり、新しい芽はこの成長点のすぐ上から伸びてくる性質があります。したがって、枝を切る際は、残したい成長点の少し上(約1〜2cm上)にハサミを入れるのが基本となります。
成長点を残さずに枝の中途半端な位置で切ってしまうと、そこから新芽が出ずに枝先が枯れ込んでしまうことがあります。特に、緑色の若い枝であれば成長点は見つけやすいですが、茶色く木質化した古い幹の場合は見分けにくいことがあるかもしれません。その場合は、節の膨らみを探すか、過去に枝分かれしていた跡を目安にすると良いでしょう。不安な場合は、葉が一枚でも残るようにその上で切ると、葉の付け根にある成長点から次の芽が出やすくなります。
丸坊主にするなら幹を途中で切る
樹形が大きく崩れてしまった場合や、高さを抑えたい場合には、すべての葉を落として幹だけの状態にする「丸坊主剪定」が有効です。幹を途中で切ることに抵抗があるかもしれませんが、元気な株であれば幹の途中からでも力強く新芽を出すことができます。この場合も前述の通り、必ず幹にある「成長点(節)」を確認し、その上で水平、あるいは水が溜まらないようにやや斜めにカットします。
太い幹をバッサリと切った後は、切り口の面積が大きくなるため、そこから水分が蒸発しすぎたり、雑菌が入ったりするのを防ぐ必要があります。園芸店などで市販されている**「癒合剤(ゆごうざい)」を切り口に塗布しておく**と、乾燥や病気の予防になり、その後の回復がスムーズになると言われています。丸坊主にした後は、一時的に光合成ができなくなるため、直射日光を避けつつ明るい場所に置き、水やりは土が完全に乾いてから控えめに行うのが管理のポイントです。
全体のバランスを整える切り戻し
丸坊主にするほどではないけれど、伸びすぎた枝を整理して見た目を良くしたい場合は「切り戻し剪定」を行います。まずは株全体を少し離れた位置から眺め、理想の樹形をイメージしましょう。その上で、飛び出しすぎている枝、下向きに伸びている枝、内側に向かって伸びて混み合っている枝などを優先的にカットしていきます。
左右のバランスを見ながら、高い枝は低く、横に広がりすぎた枝は短く切ることで、こんもりとした美しい形に仕立てることができます。このときも、枝の途中にある成長点を意識して切ることで、数週間後にはそこから新しい葉が展開し、より密度の高い樹形になります。一度に強く切りすぎると心配な場合は、数回に分けて少しずつ調整していくのも一つの方法です。
編み込みパキラの枯れた幹の処理
複数の幹が三つ編み状に仕立てられた「編み込みパキラ」はインテリア性が高く人気ですが、成長の過程で生存競争に負けた一部の幹だけが枯れてしまうことがあります。枯れた幹をそのままにしておくと見た目が悪いだけでなく、腐敗して他の元気な幹に悪影響を及ぼす可能性があるため、取り除くのが望ましいです。しかし、編み込まれている状態で無理に引き抜こうとすると、元気な幹の根まで傷つけてしまうリスクがあります。
枯れた幹を処理する際は、完全に乾燥してスカスカになり、他の幹との間に隙間ができるまで待つのがコツです。十分に隙間ができたら、枯れた幹をハサミやノコギリで少しずつ切断して取り除いていきます。最後に株元の部分を慎重に引き抜くか、地際でカットして処理します。取り除いた後は土の量が減って空洞ができるため、新しい観葉植物用の土を足して株を安定させてあげましょう。
切った枝は挿し木にして増やす
剪定で切り落とした枝は、捨てずに「挿し木」として利用することで、新しい株を増やすことができます。挿し木には土に挿す方法と水に挿す方法がありますが、初心者の方には管理が容易な「水挿し」がおすすめです。手順は以下の通りです。
- 剪定した枝を10〜15cm程度の長さに切り揃え、「挿し穂」を作ります。
- 葉からの水分蒸散を抑えるため、葉の枚数を1〜2枚に減らし、残った葉も半分程度の大きさにカットします。
- コップや花瓶に水を入れ、挿し穂を浸けます。水は毎日交換して清潔に保ちます。
- 直射日光の当たらない明るい場所に置き、早ければ2週間から1ヶ月ほどで白い根が出てきます。
- 根が十分に伸びたら、鉢に土を入れて植え替えます。
挿し木を行う際も、剪定と同様に5月から7月の暖かい時期に行うと成功率が高まります。ただし、パキラの挿し木から育った株は、実生(種から育った株)のように根元がぷっくりと肥大することは少ないとされています。それでも、愛着のあるパキラのクローンを育てられるのは大きな楽しみと言えるでしょう。
パキラの剪定でバッサリ切って楽しむ
パキラの剪定は、単なるメンテナンス作業ではなく、自分好みの樹形を作り上げるクリエイティブな楽しみでもあります。バッサリと切ることで一時的に寂しい姿になったとしても、そこから小さな新芽が顔を出し、日に日に葉を広げていく様子を観察するのは植物を育てる醍醐味の一つです。失敗を恐れずに適切な時期と方法でハサミを入れることで、パキラはより力強く、美しい姿へと生まれ変わってくれるでしょう。
まとめ
この記事では、パキラの剪定について、バッサリと切るタイミングや具体的な方法を中心に解説してきました。パキラは非常に生命力が強いため、徒長して形が崩れたり、ひょろひょろになってしまったりしても、適切な処置を行えば再生させることができます。
一方で、剪定しないまま放置することは、病害虫のリスクを高める原因にもなります。失敗しないためには、成長期を選び、成長点を見極めて切る場所を決めることが何よりも大切です。また、編み込みパキラの枯れた幹の処理や、切り落とした枝を使った挿し木への挑戦も、パキラ栽培の楽しみを広げる要素となるでしょう。幹を途中で切るという切り戻し作業は勇気がいりますが、正しい知識を持って行えば、パキラは再び美しい緑で部屋を彩ってくれます。
- 剪定の最適期は成長期の5月~7月で、冬場の強剪定は避けるべき。
- 「成長点(節)」のすぐ上で切ることで、新芽が出やすく失敗を防げる。
- 徒長した株は早めに切り戻すことで、株の体力を温存し樹形を整えられる。
- 丸坊主にする際は、切り口に癒合剤を塗り、直射日光を避けて管理する。
- 剪定した枝は水挿しなどで発根させ、新しい株として増やすことができる。

