モッコウバラを植えてはいけない理由とは?フェンス問題や剪定・根張りの後悔と対策

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春に黄色や白の花を咲かせるモッコウバラは、その可憐さから人気の高いつる性植物です。しかし一方で、「庭に植えてはいけない」と言われることもあります。その理由は、成長の早さと生命力の強さにあります。

モッコウバラは驚くほどのスピードで枝やツルを伸ばし、放っておくとフェンスや壁を覆い尽くすほど繁茂します。剪定のタイミングを逃すと形が崩れ、建物に絡みつくことも少なくありません。根の張りも非常に強いため、撤去しようとしても完全に取り除けないケースが多く、後から後悔する人もいます。また、ツルが隣家へ伸びてトラブルになる事例や、風通しの悪化でカイガラムシなどの害虫が発生することもあります。

この記事では、モッコウバラを植える前に知っておきたい注意点、管理を楽にするコツ、そして育てやすい代わりの植物について紹介します。

この記事でわかること
  • モッコウバラの旺盛な成長が引き起こす具体的なトラブル
  • 剪定の失敗や害虫、根張りがもたらす管理の難しさ
  • 地植えを避け、鉢植えでコンパクトに育てる方法
  • 後悔しないための対策や、代わりにおすすめのつる性植物
目次

モッコウバラを植えてはいけないと言われる7つの理由

モッコウバラを植えてはいけないと言われる7つの理由

モッコウバラを庭に植えるのは慎重になるべき理由について、その旺盛すぎる成長力や管理の難易度、害虫のリスク、剪定の注意点、そして将来的な撤去の問題まで、具体的な7つの懸念点を詳しく解説します。

理由1.成長が早くフェンスや壁を覆いつくす

モッコウバラが植えてはいけないと言われる最大の理由は、その驚異的な成長速度にあります。地植えにすると、環境によっては1年で数メートルもツルを伸ばし、数年もすれば10メートルを超える大きさに成長することも珍しくありません。

中には、1株で500平方メートルもの範囲を覆ったという事例もあるほどです。このため、一般家庭の庭や限られたスペースに植えると、あっという間にフェンスやパーゴラ、さらには家の壁面まで覆いつくしてしまいます。最初は美しい花の壁を楽しめても、すぐに手に負えない状態になる可能性が高いのです。

理由2.剪定を怠ると見た目が悪くなる

モッコウバラは成長が早いだけでなく、枝が四方八方に暴れる性質を持っています。そのため、定期的な剪定や「誘引(ゆういん)」と呼ばれるツルを支柱やフェンスに固定する作業が不可欠です。

この管理を怠ると、枝が伸び放題になり、単に大きいだけでなく、見た目が非常に悪くなります。ツルが絡み合い、風通しが悪くなり、枯れた葉や枝が内部に溜まって、荒れ果てた印象を与えてしまうのです。美しい景観を維持するためには、想像以上の手間がかかることを覚悟しなくてはなりません。

理由3.ツルが建物や隣家に侵入してトラブルになる

管理しきれなくなったモッコウバラのツルは、庭の中だけに留まりません。旺盛に伸びた枝は、自宅の雨どいや屋根瓦の隙間に侵入し、それらを破損させる原因になることがあります。

さらに深刻なのが、隣家への越境です。伸びたツルがお隣の敷地に入り込み、フェンスに絡まったり、建物を傷つけたりすると、近隣トラブルに発展しかねません。植物が原因のトラブルは感情的なしこりを残しやすいため、特に注意が必要です。

理由4.根が張りすぎて撤去が大変

地上部の成長が旺盛な植物は、当然ながら地下の根も広範囲に張ります。モッコウバラの根は、家の基礎を破壊するほど太くはならないとされていますが、非常に広く浅く張るため、一度地植えにすると撤去が極めて困難になります。

将来的に庭のレイアウトを変えたい、あるいは家を建て替えるとなった場合、この根を取り除く作業は大変な重労働です。もし根が少しでも残っていると、そこから再び芽吹いて再生することもあり、完全な撤去は容易ではありません。

理由5.カイガラムシなど害虫被害を受けやすい

モッコウバラは、他のバラと比較すると病気には強いとされています。しかし、害虫が全くつかないわけではありません。特に注意したいのが、カイガラムシやアブラムシです。

前述の通り、剪定を怠って枝葉が密集し風通しが悪くなると、これらの害虫が発生しやすい環境になります。カイガラムシは植物の樹液を吸って弱らせるだけでなく、排泄物が原因で「すす病」という黒いカビのような病気を誘発することもあります。一度大量に発生すると駆除が難しくなる点も、管理を難しくさせる要因です。

理由6.強剪定に弱く、一度失敗すると花が咲かない

モッコウバラは成長が早いため、剪定が必須です。しかし、剪定のタイミングを間違えると、花が咲かなくなるという大きな失敗につながります。

モッコウバラの花芽(翌年花が咲く芽)は、夏の終わりごろ(8月末まで)に作られます。したがって、剪定は花が終わった直後(5月~6月頃)に行わなければなりません。もし、夏以降や冬に「伸びすぎたから」と強く剪定(強剪定)してしまうと、すでに来年の準備をしていた花芽をすべて切り落とすことになります。

モッコウバラ自体は生命力が強いため、強剪定で枯れることは稀ですが、「花が咲かないモッコウバラ」になってしまうのです。この剪定時期のシビアさが、初心者には難しいと感じられる理由の一つです。

理由7.古木になると枯れやすく管理が難しい

モッコウバラは非常に長寿な植物で、樹齢150年を超えるような名木も存在します。そのため、「古木になると枯れやすい」というのは、一概に正しいとは言えません。

ただし、年月が経って幹が太く硬くなると、剪定や誘引といった作業が物理的に困難になります。また、株元に日が当たりにくくなることで、下のほうの枝が枯れ上がり、見た目のバランスが悪くなることはあります。管理が行き届かなくなった結果、樹勢が衰えてしまうケースも考えられます。

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モッコウバラを植える前に知っておきたい注意点

モッコウバラを植える前に知っておきたい注意点

モッコウバラの特性を理解した上で、実際に植える際に後悔しないために知っておきたい、鉢植えの活用法から日当たりや誘引の工夫、重要な剪定のコツ、害虫対策、そして万が一の撤去方法まで、具体的な6つの注意点を解説します。

地植えより鉢植えのほうが管理しやすい

モッコウバラの旺盛な成長をコントロールする最も効果的な方法は、鉢植えで育てることです。鉢の中に根が張るスペースを制限することで、地植えのように際限なく大きくなるのを防げます。

鉢植えであれば、ベランダや玄関先など限られたスペースでも楽しむことが可能です。ただし、鉢植えにはデメリットもあります。根が詰まりやすいため、最低でも年に1回程度は一回り大きな鉢に植え替える作業が必要です。また、地植えに比べて土が乾燥しやすいため、特に夏場は水切れに注意しなくてはなりません。

植える場所は日当たりと風通しが重要

モッコウバラを健やかに育て、美しい花を楽しむためには、植える場所の環境が非常に大切です。モッコウバラは日光を好むため、日当たりが良く、同時に風通しの良い場所を選んでください。

日当たりが悪いと花付きが悪くなるだけでなく、枝が間延びして弱々しく育ってしまいます。また、風通しが悪いと湿気がこもり、カイガラムシやアブラムシといった害虫が発生しやすくなるため、建物の陰や壁際で空気がよどむ場所は避けるのが賢明です。

フェンス・壁面に這わせる場合の固定方法

モッコウバラは自ら壁に張り付くタイプのつる植物ではありません。そのため、フェンスや壁面に這わせたい場合は、人間が手を加えてツルを固定(誘引)してあげる必要があります。

フェンスであれば、伸びたツルを編み込むように通していきます。壁面の場合は、ワイヤーを張ったり、トレリス(格子状の柵)を設置したりして、そこにツルを麻ひもや園芸用のビニールタイで結びつけていきます。このとき、ツルをできるだけ水平か斜め上に向かって誘引すると、花の咲く枝が出やすくなると言われています。

剪定のタイミングとコツ

前述の通り、モッコウバラの剪定はタイミングが命です。必ず、花が咲き終わった直後の5月下旬から6月中に行ってください。この時期を逃すと、来年の花芽を切り落としてしまう危険性が高まります。

剪定のコツは、まず枯れた枝や細すぎる枝、混み合っている枝を根元から切り取る「間引き剪定」で風通しを良くすることです。その上で、長く伸びすぎた枝(シュート)を、全体のバランスを見ながら切り戻します。モッコウバラは基本的に花がら摘み(咲き終わった花を取り除く作業)は不要とされています。

害虫対策と風通しの確保

害虫対策の基本は、前述した「風通し」と「剪定」です。枝葉が密集しないよう適切に剪定し、株内部まで日光と風が通る環境を維持することが、何よりの予防になります。

それでもアブラムシが発生した場合は、初期段階であればテープなどで取り除くか、勢いの良い水流で洗い流します。カイガラムシは、冬の間にマシン油乳剤という薬剤を散布すると効果的とされています。大量に発生した場合は、専用の殺虫剤の使用も検討しますが、まずは発生しにくい環境づくりを心がけましょう。

撤去するときのコツと根の処理方法

万が一、モッコウバラを撤去する必要が出た場合、大変な作業になることを覚悟しなくてはなりません。まず、地上部に出ているツルや幹を、ノコギリや剪定バサミでできるだけ短く刈り取ります。

次に、株元の周囲を広く深く掘り起こし、根をできるだけ取り除きます。根は広範囲に張っているため、すべてを取り除くのは困難です。もし根が残っていると、そこから再び新しい芽(ひこばえ)が出てくることがあります。再生させないためには、掘り起こした後に、残った太い根の切り口に除草剤(グリホサート系など)を塗布する方法もありますが、薬剤の使用には十分な注意が必要です。

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モッコウバラの管理の難しさを理解しつつも、その溢れるような花の魅力を諦めきれない方のために、地植えでも後悔せずに育てるためのポイントと、万が一モッコウバラが難しい場合の代替となるおすすめのつる性植物を紹介します。

地植えでも後悔しない育て方のポイント

地植えでモッコウバラを楽しむには、「植える前の覚悟」と「徹底した管理」が鍵となります。まず、植える場所は慎重に選んでください。隣家や道路との境界線から十分な距離を確保し、将来10メートル以上に成長しても問題ないスペースがあるかを確認します。

そして、最も重要なのが「花後すぐの剪定」を毎年必ず実行することです。この作業を怠ると、翌年には手に負えない状態になります。また、成長を少しでも抑えたい場合は、大きな植木鉢やコンクリートブロックで根が広がる範囲を制限する「根域制限」という方法を試すのも一つの手です。

モッコウバラの代わりにおすすめのつる性植物

テイカカズラ

モッコウバラの旺盛すぎる成長力や、一期咲き(春しか咲かない)である点に不安を感じる場合は、他のつる性植物を検討するのも良い選択です。モッコウバラよりも管理がしやすく、魅力的な花を咲かせる植物は多くあります。

例えば、以下のような植物がおすすめです。

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植物名特徴モッコウバラとの違い
テイカカズラ常緑性。初夏に白いプロペラ状の芳香ある花を咲かせる。成長がモッコウバラより穏やか。常緑で冬も葉が楽しめる。
クレマチス種類が非常に豊富。花色や咲き方が多様。四季咲き性の品種が多く、長く花を楽しめる。成長も穏やか。
カロライナジャスミン常緑性。春に黄色いトランペット状の芳香ある花を咲かせる。モッコウバラより成長は穏やか。耐寒性はやや劣る場合がある。
ハゴロモジャスミン常緑性。春に白や淡いピンクの非常に香りが強い花を咲かせる。芳香が非常に強い。耐寒性はやや劣るため、寒冷地では注意。

これらの植物は、モッコウバラほどの爆発的な成長力はないため、一般家庭の庭でも比較的管理しやすい傾向にあります。

まとめ:モッコウバラを植えてはいけないと言われる理由とその対処法

モッコウバラを植えてはいけないと言われる主な理由は、その爆発的な成長が早く、フェンスや壁を覆いつくし、剪定を怠ると隣家への侵入などトラブルの原因になるためです。また、強力な根張りは撤去を困難にし、風通しが悪くなるとカイガラムシなどの害虫被害も受けやすくなります。特に、花芽ができる夏以降に強剪定すると翌年花が咲かないという失敗も、管理を難しくしています。古木になると幹が太くなり、物理的な管理が大変になる点も懸念されます。

しかし、これらの問題点は、適切な対処法を知ることで回避できる可能性があります。

  • モッコウバラの成長は非常に早いため、十分なスペースを確保する
  • 地植えより鉢植えのほうが成長をコントロールしやすい
  • 剪定は必ず花が終わった直後(5~6月)に行う
  • 日当たりと風通しを確保し、害虫対策(特にカイガラムシ)を怠らない
  • 万が一の撤去は、根が残ると再生するため大変な作業になると理解しておく

地植えで後悔しないためには、これらの管理を徹底する覚悟が必要です。もし管理に自信がない場合は、テイカカズラやクレマチスなど、代わりの植物を選ぶのも賢明な判断と言えます。モッコウバラの特性を深く理解した上で、ご自身の環境やライフスタイルに合った選択をすることが大切です。

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