榊を庭に植えてはいけない?風水・鬼門のタブーと縁起、注意点を総まとめ

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を庭に植えてはいけない」という話を聞いたことがあるでしょうか。榊は神聖な植物であるため、庭木として植えることに不安を感じる方もいるかもしれません。

結論からお伝えしますと、榊を庭に植えること自体が絶対に悪いわけではありません。しかし、古くからの言い伝えや、植物としての特性を理解した上で、適切な配慮をすることが求められます。

なぜ「植えてはいけない」と言われるのか、その背景には、榊が神道において神聖なものとして扱われてきた歴史が深く関係しています。古来、神棚にお供えするものとして大切にされてきたため、個人の庭木として植えることに畏敬の念や抵抗感が存在します。

また、縁起や風水、方角を気にする考え方もあります。例えば、榊を枯らすことは良くないとされたり、やむを得ず伐採する際にも特別な配慮が必要だと考えられたりします。

この記事では、榊を庭に植えることに関する様々な疑問を解消するため、その理由や背景、縁起や方角の考え方、そして庭木として育てる際のメリット・デメリットや注意点について、詳しく解説していきます。

この記事でわかること
  • 榊が「植えてはいけない」と言われる神聖な理由
  • 植える際に考慮すべき縁起、風水、方角の考え方
  • 榊を庭木として育てるメリットとデメリット
  • 榊を健康に保つための具体的な育て方と注意点
目次

榊を「植えてはいけない」と言われる理由とは?

榊を「植えてはいけない」と言われる理由とは?

榊は神聖な植物として知られていますが、だからこそ「庭に植えてはいけない」という声も聞かれます。この章では、そうした言い伝えの背景にある神聖さへの配慮や、神棚との関係、枯らしたり伐採したりする際の注意点、そして見た目が似ているヒサカキとの混同など、様々な理由を詳しく解説します。

榊は「神聖な木」だからこそ扱いに注意が必要

榊が「植えてはいけない」と言われる最大の理由は、この木が持つ「神聖さ」にあります。榊は日本の神道において、古くから神様が宿る「依り代(よりしろ)」、あるいは神域と人間界を分ける「境の木」として、非常に特別な意味を持ってきました。

日本神話においても、天照大神(あまてらすおおみかみ)が天岩戸(あまのいわと)に隠れた際、神々が榊の木に玉や鏡をかけて祈りを捧げたとされています。

また、「榊」という漢字自体が、「木」へんに「神」と書く日本で作られた国字(こくじ)であることからも、いかに深く信仰と結びついてきたかが分かります。

このように、神社の神事や家庭の神棚に欠かせない神聖な木であるため、それを個人の庭に植え、日常的に扱うことに対して「恐れ多い」「軽々しく扱うべきではない」という畏敬の念が生まれました。これが、扱いに注意が必要とされる根本的な背景です。

個人の庭に植えると不吉?「神の領域を犯す」という考え方

榊の神聖さから派生して、「個人の庭に植えるのは不吉である」とか「神の領域を犯すことになる」といった考え方も存在します。これは、神域や神社にあるべき神聖なものを、私的な空間である個人の敷地に持ち込むことへの抵抗感やタブー意識の表れと考えられます。

特に、かつての身分制度が厳しかった時代には、神事は朝廷や武家など特定の階級が公的に行うものでした。そのため、神事に不可欠な榊を一般の庶民が自宅に植えることは、自らの身分にふさわしくない「不敬」な行為、あるいは「分相応でない」ことと見なされる風潮があったとも言われています。

現代においては、このような考え方は薄れてきています。しかし、地域や家系の伝統によっては、今でもこうした価値観が受け継がれており、「榊は買うものであって、植えるものではない」と考えるご家庭もあります。

神棚がない家に榊を植えるのはタブーなのか

それでは、神棚がない家に榊を植えることはタブーにあたるのでしょうか。これに関しては、必ずしもタブーとは言えません。

確かに榊は神棚にお供えするイメージが強い植物です。ただ、神棚の有無にかかわらず、榊が持つ「神聖さ」や「魔除けの力」に期待して、縁起木や家の守り神として庭に植えるという考え方もあります。

例えば、神社の境内に榊が植えられているのが「結界」の役割を果たすように、家の敷地を清浄に保つ目的で植栽されるケースです。

ただし、神棚がない場合であっても、榊が神聖な木であることには変わりありません。植える場所を清浄に保ち、健康に育てるといった、敬意を持った管理が望まれることに違いはないでしょう。

榊を枯らす・伐採する時に気をつけたいこと

榊を庭に植えた場合、枯らしてしまったり、成長しすぎて伐採が必要になったりすることもあるかもしれません。神聖な木であるだけに、このような場合の対処には注意が求められます。

榊を枯らすことは、一般的に縁起が良くないこととされています。もし植えていた榊が枯れてしまった場合は、そのまま放置するのではなく、感謝の気持ちを込めて丁重に処分することが望まれます。例えば、塩でお清めをしてから白い紙に包み、他のゴミとは分けて処分するといった方法が考えられます。

また、大きくなりすぎたなどの理由でやむを得ず伐採する場合も、同様の配慮が必要です。可能であれば、事前に神職(神主)にお祓いを依頼するのが最も丁寧な方法とされます。それが難しい場合でも、自分たちで塩やお酒などでお清めを行い、木に対する感謝と伐採の理由を伝えてから作業にあたると良いでしょう。

「ヒサカキ」との違いを知らずに誤解されるケース

「榊」に関する言い伝えやタブーの中には、実はよく似た別の植物である「ヒサカキ」と混同されているケースもあります。

サカキ(ホンサカキとも呼ばれます)は比較的温暖な地域(本州の茨城県・石川県以西)に自生する木です。このため、関東以北や寒冷地では、サカキが育ちにくい代わりに、耐寒性がある近縁種のヒサカキが「榊」として神棚に供えられてきました。

ヒサカキはサカキに比べて葉が小さく、葉の縁にギザギザ(鋸歯)がある点で見分けられます。また、ヒサカキは仏壇にお供えする「シキミ」の代用として仏事に使われる地域もあり、その用途も異なります。

「榊を植えてはいけない」という話が、自分の地域で伝統的に扱われてきた「榊(実はヒサカキ)」のことを指している可能性もあります。両者の違いを理解しておくことは、こうした誤解を避ける上で役立ちます。

スクロールできます
項目サカキ(ホンサカキ)ヒサカキ
葉の特徴縁に鋸歯(ギザギザ)がない、滑らか縁に細かい鋸歯(ギザギザ)がある
葉の大きさ比較的大きい (長さ約6〜10cm)比較的小さい
冬芽長く伸び、先端が鎌状に曲がる小さく、あまり目立たない
主な用途神事、神棚神事(サカキの代用)、仏事
生育地域比較的温暖な地域(関東以西など)寒冷地でも育つ
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榊を庭に植える前に知っておきたい風水・方角・縁起の話

榊を庭に植える前に知っておきたい風水・方角・縁起の話

庭木を植える際には、縁起や風水、方角を気にされる方も多いのではないでしょうか。この章では、榊を植える場合に縁起が良いとされる方角や、逆に避けるべきとされる鬼門の考え方、植える時期と運気の関係、さらには神棚の位置との関連性について解説し、榊の代わりにおすすめされる縁起木も紹介します。

榊を植えるのに縁起の良い方角と避けるべき方角

風水の考え方では、万物は「木・火・土・金・水」の五行に分類されます。榊は植物であるため、当然ながら「木」の気を持つとされます。この「木」の気と相性が良いとされる方角に植えるのが良いという考え方があります。

具体的には、同じ「木」の気を持つ東や南東、または「木」が「火」を生み出すという関係性(木生火)から、「火」の気を持つ南が、榊を植えるのに適した方角とされることがあります。これらの方向に植えると、成長や発展の運気が高まると言われます。

一方で、避けるべきとされる方角もあります。例えば、「木」の気が「土」の養分を吸い取ってしまう(木剋土)という関係性から、「土」の気を持つ北東(鬼門)や南西(裏鬼門)は、榊の植栽にあまり適さないとする考え方です。

北東・鬼門に植えると良くないと言われる理由

前述の通り、北東は「鬼門」と呼ばれ、家相や風水において特に注意が必要な方角とされています。この鬼門に榊を植えることが良くないと言われる理由には、複数の解釈が存在します。

一つは、風水の五行思想に基づくもので、北東(土)と榊(木)が相克(木剋土)の関係にあるため、互いの運気を打ち消し合ってしまうという考え方です。

もう一つは家相に基づく解釈で、鬼門は邪気が出入りする不吉な方角とされるため、そこに神様が宿る神聖な榊を植えることは、神様に対して「不敬」にあたるという考え方です。

ただし、これには全く逆の解釈も存在します。榊が持つ神聖な力や魔除けの力によって、鬼門から入る邪気を防ぐ「鬼門よけ」になるという考え方です。どちらの解釈を取るかは、その家庭や地域の考え方によって異なります。

榊を植える時期や場所で運気が変わる?

榊を植える時期や場所が運気に影響するという考え方もあります。これは、植物が元気に育つことが家全体の良い運気(生気)を高め、逆に枯れてしまうと運気を損なうという考え方に基づいています。

運気を良くするためには、まず植物学的に榊の生育に適した時期と場所を選ぶことが大切です。植え付けの適期は、本格的な成長が始まる前の春(3月〜4月頃)や、気候が安定する秋(10月〜11月頃)とされます。

場所も、榊の性質に合った場所(強い日差しを避けられる半日陰で、水はけの良い土壌)を選ぶことが、元気に育てるための鍵となります。適した環境で榊が青々と育てば、それが結果として良い運気につながると考えられます。

神棚の位置と庭木の方角の関係

神棚の位置と、庭に植える榊の方角について、厳密な決まりが定められているわけではありません。

一般的に、神棚は家の中でも清浄で明るく、目線より高い場所(多くは南向きや東向き)に設置されます。自宅の庭で育てた榊を神棚にお供えすることは、神様への敬意を示す非常に丁寧な行為とされています。

このため、神棚にお供えする榊を育てる場所として、不浄とされがちな場所(例えばトイレの近くなど)や、縁起が良くないとされる方角(前述の鬼門など)は、心情的に避けた方が良いと考える方もいます。大切なのは、清浄な場所で大切に育てた榊をお供えするという気持ちです。

榊を植える代わりに縁起の良いおすすめの木(南天・柊など)

榊を庭に植えることに迷いや不安が残る場合、あるいは家相や縁起をより重視したい場合には、榊の代わりに他の縁起の良い木を選ぶのも一つの良い方法です。

古くから「鬼門よけ」として知られている植物があります。

例えば、ヒイラギ(柊)は、葉にある鋭いトゲが邪気を払うとされ、鬼門(北東)に植えるのに適していると言われます。

また、ナンテン(南天)は、「難(なん)を転(てん)じる」という語呂合わせから非常に縁起が良い木とされ、こちらは裏鬼門(南西)に植えられることが多いです。

これらの植物も常緑樹であり、一年を通して緑を保つため、庭木として人気があります。

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榊を庭に植えるメリット・デメリットと育てる時の注意点

榊を庭に植えるメリット・デメリットと育てる時の注意点

榊を庭に植えるかどうか迷っている方のために、この章では植物としての榊が持つ具体的な特性を解説します。常緑で育てやすいというメリットだけでなく、日照や乾燥に関する注意点、根張りの強さや害虫の問題といったデメリットにも触れ、神聖な木として上手に付き合っていくためのコツをまとめます。

榊は丈夫で常緑!育てやすい木の特徴

榊は、神聖な側面だけでなく、庭木として非常に実用的なメリットも持っています。

最大の魅力は、一年を通して青々とした美しい葉を保つ常緑樹であることです。光沢のある葉は庭に落ち着いた雰囲気を与え、冬の寂しくなりがちな景観にも彩りを添えてくれます。また、枝葉が密に茂るため、生垣や目隠しとしての利用にも適しています。

加えて、榊は基本的に丈夫で生命力が強い植物です。適切な環境に一度根付いてしまえば、比較的育てやすい木と言えます。新しい芽を出す力(萌芽力)も強いため、剪定にもよく耐え、樹形を整えやすいのも利点です。

日陰でも育つが乾燥に弱い点に注意

榊は比較的育てやすい木ですが、植える環境にはいくつかの注意点があります。

榊は本来、山地の森林などで他の大きな木の下に生えている「陰樹」または「半陰樹」です。このため、強い直射日光、特に午後の西日が長時間当たるような場所は非常に苦手とします。夏場に強い日差しを浴び続けると、葉が黄色や茶色に変色する「葉焼け」を起こし、ひどい場合は枯れてしまうこともあります。

植える場所としては、家の北側や、高木の陰になるような「明るい半日陰」が最も適しています。

また、水はけの悪い過湿な土壌を嫌う一方で、極端な乾燥にも弱いという性質があります。土壌が乾燥しすぎると生育が悪くなるため、適度な湿り気を保てる場所を選ぶか、夏場は水やりに注意する必要があります。

根張りが強く、他の植物と共存しにくい場合も

榊を植える場所を考える際には、根の張り方にも考慮が必要です。

榊の根は、生育環境にもよりますが、比較的浅い場所に横へと広がる性質があると言われています。このため、地表近くの水分や養分を巡って、すぐそばに植えられた他の草花や低木と競合してしまう可能性があります。

榊の株元周辺は、他の植物が育ちにくいスペースになることも考えられます。デザイン性を重視して様々な植物を密に植えたい(寄せ植えしたい)場所には、あまり向かないかもしれません。植える際は、将来的な成長を見越して、他の植物と十分な距離を確保することが大切です。

害虫(カイガラムシなど)がつきやすい点に注意

榊の管理において、最も注意が必要なのが害虫です。榊は比較的病気には強い植物ですが、特定の害虫が非常に発生しやすいことで知られています。

その代表格が「カイガラムシ」です。カイガラムシは数ミリ程度の小さな虫で、枝や葉の裏に張り付いて植物の汁を吸います。問題は、このカイガラムシの排泄物を栄養源として黒いカビが繁殖し、葉や枝が黒いすすで覆われたようになる「すす病」を引き起こすことです。

すす病は見た目が悪いだけでなく、光合成を妨げて榊の生育を著しく阻害します。

カイガラムシは成虫になると硬い殻で覆われ、薬剤が効きにくい場合も多いです。発生しやすい5月〜7月頃は特に注意深く枝葉を観察し、見つけ次第、歯ブラシなどでこすり落とすといった早期の物理的除去が、健康に保つための鍵となります。

榊を正しく植えて神聖な空間を保つコツ

榊を庭に植え、神聖な木として上手に付き合っていくためには、いくつかのコツがあります。

まず、植える前の準備として、家族や親族の意向をよく話し合うことが重要です。前述のような言い伝えやタブーを気にされる方がいないか確認し、合意を得ておくことが、後の心の平穏につながります。

植える場所は、植物の特性に合わせて、強い日差しや西日、冬の冷たい風を避けられる半日陰を選びます。土壌は、水はけが良いように腐葉土などを混ぜて改良しておくと良いでしょう。

植えた後は、榊を健康に保つことが最大のポイントです。定期的な剪定で枝葉の風通しを良くし、病害虫(特にカイガラムシ)の発生を予防・早期発見に努めます。清浄な状態を保ち、敬意を持って管理することが、神聖な空間を維持する上で最も大切なことと言えます。

まとめ:榊を植えてはいけない理由と育てるときの注意点

榊を庭に植えてはいけない、という言葉の背景にある様々な理由や、育てる際の注意点について解説してきました。

この記事で取り上げたように、榊は「神聖な木」だからこそ扱いに注意が必要であり、個人の庭に植えると不吉だという考え方や、「神の領域を犯す」という畏敬の念が古くから存在します。神棚がない家に榊を植えるのはタブーなのかという疑問や、榊を枯らす・伐採する時に気をつけたいことなど、具体的な管理上の懸念もあります。また、「ヒサカキ」との違いを知らずに誤解されるケースも少なくありません。

植える際には、榊を植えるのに縁起の良い方角と避けるべき方角といった風水や家相の知識も判断材料の一つとなります。特に北東・鬼門に植えると良くないと言われる理由には、神聖さゆえの解釈と、五行思想に基づく解釈の両方が存在しました。榊を植える時期や場所で運気が変わるかという点や、神棚の位置と庭木の方角の関係も、清浄に保つという観点から考慮されます。もし植栽をためらう場合は、榊を植える代わりに縁起の良いおすすめの木として、南天・柊などを選ぶのも良い方法です。

植物としての榊は、丈夫で常緑という育てやすい木の特徴を持っています。しかしその一方で、日陰でも育つが乾燥に弱い点に注意が必要であり、根張りが強く、他の植物と共存しにくい場合もあります。特に、害虫(カイガラムシなど)がつきやすい点に注意を払い、榊を正しく植えて神聖な空間を保つコツを実践することが大切です。

この記事で解説した重要なポイントを以下にまとめます。

  • 「植えてはいけない」という言い伝えは、主に榊の神聖さへの畏敬の念や地域の風習が理由です。
  • 現代では、家族や親族の合意を得て、敬意を持って正しく管理すれば植えること自体はタブーではありません。
  • 風水や家相では、植える方角(特に鬼門)に関して様々な解釈が存在します。
  • 植物としては、強い日差しと乾燥を嫌うため、半日陰で適度な湿度を保てる場所が適しています。
  • カイガラムシが発生しやすいため、定期的な観察と早期の対処が健康に育てる鍵となります。

最終的に、榊を庭に植えるかどうかは、これらの情報を総合的に理解した上で、ご自身の家庭環境や地域の慣習、そして何よりも榊に対する敬意を大切にしながら判断することが望まれます。

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