【初心者必見】植えてはいけない宿根草リスト|庭を占領され後悔する前に

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ガーデニングで長く花を楽しめる宿根草は、とても魅力的です。しかし、中にはその生命力の強さから、庭に植えたことを後悔する品種も存在します。この記事では、どのような種類の宿根草が植えてはいけないと言われるのか、その理由や宿根草を安全に楽しむための知識と対策を詳しく解説します。

宿根草で植えてはいけないと呼ばれる最大の理由は、コントロールが難しいほどに強い繁殖力にあります。

たとえば、繁殖力が強い品種は、植えてから数年で地下茎を広げる、あるいはこぼれ種から雑草化するなどして、あっという間に庭を占領してしまたり、他の植物を枯らす「アレロパシー」という性質を持つものや、地域の生態系に影響を与える外来種としての危険をはらむものもあります。

また、特定の品種は虫がつきやすい、または病気にかかりやすい性質があり、管理の手間が増えてしまいます。冬に枯れる宿根草でも、春になると以前にも増して広がっていることも珍しくありません。大株になると植え替えが困難になることも少なくありません。特にガーデニング初心者にはどの種類が植えてはいけないのか、分からないケースもあるでしょう。

本記事では植えて安全にガーデニングを楽しむための具体的な知識と対策を詳しく解説していきます。

この記事でわかること
  • 植えてはいけないとされる宿根草の具体的な種類
  • 繁殖力が強すぎることによる庭への悪影響
  • 駆除や手入れが困難になる理由
  • 危険な宿根草を安全に楽しむための管理方法
目次

なぜ?植えてはいけない宿根草があるのか?その理由

フジバカマ

この章では、特定の宿根草がなぜ「植えてはいけない」と言われるのか、その根本的な理由を解説します。見た目の美しさの裏に隠された繁殖力の強さや、庭全体、さらには周囲の生態系にまで及ぼす可能性のある影響について、具体的な事例を交えながら見ていきましょう。

繁殖力が強いので後悔する宿根草

宿根草を植えて後悔する最も一般的な原因は、その強すぎる繁殖力にあります。植えっぱなしで毎年花を咲かせてくれる手軽さが魅力の宿根草ですが、一部の品種はその性質が裏目に出てしまうのです。

繁殖の方法は主に2つ考えられます。一つは地下茎やランナー(地面を這う茎)による栄養繁殖です。これは、親株から伸びた茎が土に接した部分から新たな根や芽を出し、クローンのように増えていく方法を指します。もう一つは、花が咲いた後にできる種がこぼれ落ちて発芽する、こぼれ種による繁殖です。

特に問題となりやすいのは、これら両方の方法で旺盛に繁殖するタイプの宿根草です。地下で着実にテリトリーを広げながら、種によって遠くの場所にも飛び火するため、気づいたときには庭のあちこちで同じ植物が芽吹いているという事態になりかねません。そうなると、他の植物を植えるスペースがなくなり、景観も単調になってしまいます。

地下茎でどんどん広がる恐怖

地下茎で増える宿根草は、地上部分だけを見ていては繁殖の状況を正確に把握できないという怖さを持っています。地上には数本しか見えなくても、土の中では広範囲に根がネットワークを張り巡らせている可能性があるのです。

代表的な例として、ハーブのペパーミントやシュウメイギク、フジバカマなどが挙げられます。これらの植物は、土の中で地下茎を四方八方に伸ばし、節々から新しい芽を出して増殖します。そのため、地上に見えている部分を抜き取っただけではまったく意味がありません。

土の中にわずか数センチでも地下茎の断片が残っていると、そこから簡単に再生してしまいます。完全に駆除するためには、庭の土を深く掘り返し、根気よくすべての根を取り除く必要があり、これは大変な重労働となります。このように、目に見えない部分で進行する繁殖は、ガーデニングにおける大きな脅威となり得るのです。

雑草化して庭を占領してしまうことも

強健な性質を持つ宿根草は、管理を少しでも怠ると、あっという間に庭の主役を乗っ取り、雑草化してしまうことがあります。本来は可憐な花を楽しむ園芸植物であったはずが、増えすぎた結果、厄介な雑草として扱わざるを得なくなるのです。

例えば、白とピンクの小花が愛らしいエリゲロン(源平小菊)は、その強さからコンクリートの隙間や石垣など、過酷な環境でも生育できます。こぼれ種でよく増えるため、一度庭に植えると、意図しない場所からも次々と芽を出し、庭全体を占領してしまう可能性があります。

また、グラウンドカバーとして人気のヒメツルソバも同様です。地面を覆うスピードが非常に速く、他のデリケートな草花の生育スペースを奪ってしまいます。これらの植物は、もともと持っている生命力の強さが、庭という管理された環境の中では過剰に発揮されてしまう典型例と言えるでしょう。

他の植物を枯らすアレロパシーとは

一部の植物が持つ「アレロパシー(他感作用)」という性質も、庭に植える際に注意すべき点です。これは、植物が根や葉から特定の化学物質を放出し、他の植物の生育を抑制したり、枯らしてしまったりする現象を指します。

この性質は、植物が他のライバルとの競争に勝ち、自分の子孫を残すための生存戦略の一つと考えられています。代表的な例としては、セイタカアワダチソウが知られていますが、園芸用として流通している宿根草の中にも、この性質を持つものが存在します。

アレロパシーを持つ植物を庭に植えると、周囲に植えたお気に入りの植物がなぜか元気がなくなったり、うまく育たなかったりする原因となることがあります。原因がわからないまま植物が弱っていくのは、ガーデナーにとって非常につらいことです。どの植物がアレロパシーを持つかをすべて把握するのは難しいですが、特定の植物の周りだけ他の植物の生育が悪いといった状況が見られる場合は、この性質を疑ってみる必要があるかもしれません。

生態系を壊す外来種の危険性

庭に植えた宿根草が敷地の外にまで広がり、野生化してしまうと、地域の生態系に深刻な影響を及ぼす危険性があります。もともとその地域にいなかった外来種が定着すると、古くからそこに生息していた在来の植物との間で、光や水、栄養分を巡る競争が起こります。

繁殖力が強い外来種は、この競争に打ち勝って在来種を駆逐してしまうことがあります。また、近縁の在来種と交雑してしまい、地域固有の遺伝子を持つ純粋な在来種が失われる「遺伝子汚染」という問題を引き起こす可能性も否定できません。例えば、園芸種のフジバカマが、絶滅が危惧されている野生のフジバカマと交雑してしまう事例が懸念されています。

こうした問題を防ぐため、国や自治体によっては、特定の外来種を「生態系被害防止外来種」などに指定し、注意を呼びかけています。自分の庭から逃げ出した植物が、地域の貴重な自然を壊す原因とならないよう、植える植物の出自や性質を理解し、責任を持って管理することが求められます。

スクロールできます
宿根草の名前主な増え方特に注意すべき点
ヒメツルソバ地下茎、こぼれ種雑草化しやすく、生態系被害防止外来種に指定されています
シュウメイギク地下茎、こぼれ種地下茎の広がりが非常に旺盛で駆除が困難です
ペパーミント地下茎繁殖力が非常に強く、他のハーブの生育を阻害することがあります
エリゲロンこぼれ種コンクリートの隙間でも育つ生命力で雑草化しやすいです
スイセン分球全草に毒があり、特に球根の誤食には注意が必要とされています
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植えてはいけない宿根草が持つデメリット

ペパーミント

ここでは、強すぎる繁殖力以外にも目を向けるべき、植えてはいけない宿根草が持つ具体的なデメリットを解説します。病害虫のリスクや日々の管理の手間、さらには特定の植物が持つ毒性など、植える前に知っておくべき注意点もご紹介します。

虫がつきやすく病気にもかかりやすい

一部の宿根草は、特定の病気にかかりやすかったり、害虫を誘引しやすかったりする性質を持っています。旺盛に生育する品種は、葉や茎が密生しやすく、株の内部が蒸れて風通しが悪くなりがちです。このような環境は、カビが原因で発生するうどんこ病や灰色かび病といった病気の温床となります。

また、植物によってはアブラムシやハダニなどの害虫がつきやすいものもあります。これらの害虫は植物の汁を吸って弱らせるだけでなく、ウイル病を媒介することもあるため注意が必要です。

病害虫が発生すると、見た目が悪くなるのはもちろん、最悪の場合は株全体が枯れてしまうことも考えられます。薬剤を散布して対処する方法もありますが、できるだけ農薬を使いたくないと考える方も多いでしょう。病害虫の被害が広がると、周囲の健康な植物にまで影響が及ぶ可能性もあります。このように、特定の植物を植えたことで、庭全体の管理が複雑になってしまうケースがあるのです。

手入れが大変で初心者には向かない

「植えっぱなしでOK」というイメージのある宿根草ですが、繁殖力が強い品種の場合は、むしろ通常の一年草などよりも手入れが大変になることがあります。放置しておくと庭が大変なことになってしまうため、その成長を常にコントロールし続けなければならないからです。

具体的には、伸びすぎた茎や葉を切り戻す「剪定」や、密集しすぎた株を間引く作業が定期的に必要になります。また、こぼれ種で増えるタイプであれば、種ができる前に咲き終わった花をこまめに摘み取る「花がら摘み」が欠かせません。これらの作業を適切な時期に行わないと、繁殖を抑制することは難しくなります。

こうした管理作業には、植物の性質に関する知識と、ある程度の時間や労力が求められます。そのため、ガーデニングにあまり時間をかけられない方や、まだ経験の浅い初心者の方にとっては、大きな負担となる可能性があります。「手軽そう」という理由だけで安易に選んでしまうと、後々管理の難しさに直面することになるかもしれません。

日陰で育たず冬に枯れる種類も

すべての宿根草が、どんな環境でも元気に育つわけではありません。植物にはそれぞれ適した生育環境があり、それを無視して植えてしまうと、期待通りの姿を見せてくれないばかりか、管理の手間を増やす原因にもなります。

例えば、多くの宿根草は日光を好みます。日当たりの悪い日陰に植えてしまうと、光を求めて茎がひょろひょろと間延びする「徒長(とちょう)」を起こしたり、花つきが極端に悪くなったりします。これでは、せっかく植えても楽しむことができません。

また、宿根草と一括りに言っても、その耐寒性は品種によって様々です。暖かい地域が原産のものは、寒冷地では冬の寒さに耐えられずに枯れてしまうことがあります。冬に地上部が枯れるのは宿根草の性質ですが、根まで完全に枯死してしまっては、翌春に芽吹くことはありません。植えたい宿根草が、自宅の庭の環境(日照条件や冬の気温など)に合っているかどうかを事前に確認することが大切です。

根が深く抜けず駆除が難しい

前述の通り、地下茎で広がるタイプの宿根草は駆除が難しいですが、それとは別に、地中深くに太くまっすぐな根を張る「直根性(ちょっこんせい)」の植物も同様に厄介です。一度根付いてしまうと、人力で完全に抜き取るのは非常に困難になります。

このような植物の根は、まるでゴボウのように地中深くまで伸びていきます。スコップで掘り起こそうとしても、途中で根が切れてしまいがちです。そして、地中に少しでも根の一部が残っていると、そこから再び芽を出して再生する驚異的な生命力を持っています。

また、カタバミのように小さな球根(鱗茎)で増えるタイプも同様です。土を掘り返すと、無数の小さな球根が土の中に散らばってしまい、すべてを取り除くのはほぼ不可能です。これらの植物は、一度庭に侵入を許してしまうと、半永久的に付き合っていかなければならない存在になる可能性があるのです。

成長後の植え替えが困難なケース

宿根草は年々株が大きく成長していきます。数年も経つと、植え付けた当初とは比べ物にならないほど立派な株張りになることも珍しくありません。しかし、この成長が原因で植え替えが困難になるケースがあります。

株が大きくなりすぎると、根も広範囲に張っているため、掘り上げる際の根鉢が非常に大きくて重くなります。一人で持ち上げるのが困難なほどの重量になることもあり、植え替え作業は大変な重労働となります。

また、シャクヤクやクリスマスローズのように、根をいじられるのを嫌う性質を持つ宿根草も存在します。これらの植物は、一度植え付けたらなるべく移植しない方が良いとされており、下手に植え替えようとすると、根が傷ついて生育が著しく悪くなったり、最悪の場合は枯れてしまったりすることもあります。将来的に株がどれくらい大きくなるかを想定し、十分なスペースを確保して植え付ける計画性が求められます。

毒を持つスイセンにも注意が必要

春の訪れを告げる美しい花として人気のスイセンですが、実はその全体、特に球根に毒性を持つ成分が含まれていることは意外と知られていません。このため、植える場所や取り扱いには注意が必要です。

スイセンの葉は、食用とされるニラやノビルと見た目がよく似ています。このため、家庭菜園の近くなどに植えていると、誤って収穫し、食べてしまうという食中毒の事故が報告されています。公式サイトの情報によると、スイセンを誤食すると、嘔吐や下痢などの中毒症状を引き起こすことがあるとされています。

小さなお子様やペットがいるご家庭では、特に注意が求められます。子供が興味本位で口にしたり、犬や猫が球根を掘り返してかじってしまったりする危険性も考えられます。美しい花には毒があるということを認識し、安全に配慮した場所に植えるか、あるいは植えること自体を慎重に検討することが大切です。

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宿根草の管理と安全に楽しむ方法

シュウメイギク

これまでに解説したようなリスクのある宿根草でも、特性を理解し、適切な対策をすることで安全に楽しむことがでりきます。最後の章では、増えすぎるのを防ぐための具体的な管理方法や、それでも手に負えなくなった場合の対処法、そして安心してガーデニングを楽しむためのポイントについて解説します。

植えても安全に管理するコツ

繁殖力が強い宿根草でも、その性質を理解した上で適切な対策を講じれば、安全に庭で楽しむことが可能です。重要なのは、繁殖する範囲を物理的に制限する「封じ込め」と、成長をコントロールする「定期的な管理」です。

鉢植えやプランターで育てる

最もシンプルで効果的な方法は、地植えにせず、鉢やプランターで育てることです。これにより、地下茎や根が広がる範囲を鉢の中に限定できます。ただし、鉢の底の穴から根が伸び出して地面に根付いてしまうことがあるため、コンクリートの上など土のない場所に置くとより安心です。

根止めシートを活用する

どうしても地植えで楽しみたい場合は、植え付ける場所の周囲の土中に「根止めシート(ルートコントロールパネル)」と呼ばれる物理的な壁を埋め込む方法があります。これは、プラスチックなどでできた板状の資材で、地下茎がそれ以上広がるのを防ぐ効果が期待できます。シートの深さが十分でなかったり、つなぎ目に隙間があったりすると効果が薄れるため、確実な施工が大切です。

こまめな剪定と花がら摘み

植物の成長をコントロールするためには、定期的な手入れが欠かせません。伸びすぎた枝は剪定し、株が込み合ってきたら間引いて風通しを良くします。また、こぼれ種で増えるタイプは、花が咲き終わったら種ができる前に花がらを摘み取ることが、意図しない繁殖を防ぐ上で非常に有効な手段となります。

これらの対策を組み合わせることで、管理の難しい宿根草とも上手く付き合っていくことができるでしょう。

まとめ:植えてはいけない宿根草の知識

植えてはいけない宿根草を避けることは、美しい庭を長く維持し、ガーデニングで後悔しないための重要な知識です。繁殖力が強い品種は、地下茎で広がる、あるいはこぼれ種によって雑草化してしまい、気づけば庭を占領して他の植物を枯らす(アレロパシー)危険さえあります。一度広がってしまうと根が深く抜けない性質のため駆除が難しく、成長後の植え替えも困難です。

また、虫がつきやすい、病気にかかりやすい、日陰で育たない、冬に枯れるといった栽培上の性質は、手入れが大変で初心者には向かない大きな要因となります。美しいスイセンのような有毒植物や、地域の生態系に影響を及ぼす外来種の危険も忘れてはなりません。

しかし、これらのリスクを正しく理解し、適切な対策を講じれば、多くの宿根草を植えて安全に楽しむことが可能です。

この記事で解説した重要なポイントを以下にまとめます。

  • 植える前に、その宿根草の繁殖方法(地下茎、こぼれ種など)を必ず確認する
  • 他の植物や周囲の生態系に与える影響を考慮する
  • 管理の手間(剪定、病害虫対策など)が自分の許容範囲内か見極める
  • 日照や土壌など、植える場所の環境がその植物に適しているか確認する
  • 繁殖力が強い品種は、鉢植えや根止めシートを活用して物理的に封じ込める

これらの知識を活かし、計画的に植物を選ぶことで、トラブルを未然に防ぎ、豊かなガーデニングライフを送ることができます。もし管理に困った場合は、専門の造園業者に相談するのも一つの有効な手段です。

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